ヘイトスピーチしたラノベの作者は切られても殺人犯の本はベストセラーになる理由

f:id:netbus92:20180607235827p:plain

現在Twitterを中心として議論が白熱しているライトノベル作者のヘイトスピーチ問題をご存知でしょうか。

少し過激なタイトルになりましたが、今回の件をめぐる騒動について、思うところがあるので記事にします。

 何故ラノベが出荷停止になったのか

問題となっているライトノベルは「二度目の人生を異世界で」というアニメ化が決定していた超人気タイトルです。それにも関わらず出荷停止、またアニメの制作が中止された理由は、昨今緊張感が高まっているヘイトスピーチが原因です。

 

出版社のホビージャパンは「作品の内容とは切り分けるべき事項ではありますが、著者が過去に発信したツイートは不適切な内容であった」「作品中の一部の表現が多くの方々の心情を害している実情を重く受け止めております」とのコメントを発表しており、作者も5日に過去の投稿について謝罪をしています。

 

ヘイトスピーチの内容について

以下が問題となっているヘイトスピーチの内容です。

  • 日本が蟲国に負けた歴史は、確か無いはずなんだがなぁ・・・
  • 姦国の猿はほんとにシツケが悪いなぁ
  • そんな阿保なコト言ってる暇があるなら、ハングル勉強して姦国行け

他にも多数、問題視されている発言があります。

発言は以下のサイトにまとめられているので興味があればご確認下さい

blog.esuteru.com

なぜ出荷、アニメ化が中止されたか

国際問題の緊張感が高まる情勢を鑑みて、出版社及びアニメの製作委員会が世論のネガティブな感情の的になることを避けたとの見方が各メディアでされていますが、これには大きな問題があると考えています。

 

確かに出版社のコメントにあるように「多くの方々の心情を害している実情」という表現は間違いのない事実だと考えますが、その一方で、「作品の内容とは切り分けるべき事項」という矛盾した内容も発しています。

出版社もダブルスタンダードで曖昧な立場を表すように、Twitterを始めとするSNSでも意見は擁護派、否定派に大きく別れていますが、果たしてどちらが正しいのでしょうか。

 

神戸連続児童殺傷事件の犯人の手記はベストセラーに

1997年、神戸市須磨区で発生した事件です。20年前ではありますが、記憶に新しい人も多いのではないでしょうか。

当時小学生5人が襲われ2人が死亡、その中でも1人の被害者は中学校の正門前に頭部を置き去られる凄惨な事件が発生しました。

残忍な犯行手口と犠牲者の児童の遺体を損壊し犯行声明文を残すなど、常人の理解を超えた犯行であり、逮捕されたのはまだわずか14歳という未成年という事実は当時多くのニュースで取り上げられました。

 

事件そのものも大きく取り上げられましたが、今回着目したい点は、刑期を終え出所後に元少年が犯罪行為をもとに手記を出版したという点です。

この手記は遺族の了承を得ずに発売したため、

  • なぜ遺族の了解を取らずに出版したのか
  • なぜあのような猟奇的殺人者の本を出すのか

と批判の声が数多く上がっていました。

その際、出版元である太田出版は「社会は、彼のような犯罪を起こさないため、起こさせないため、そこで何があったのか、見つめ考える必要がある」とのコメントを同社のホームページで発表し、販売はその後も継続されました。

 

世論を受けて、一部の書店が販売を自粛する自体に発展する一方、発売以来ベストセラーランキングの上位の常連となった同書は少なくとも25万部発刊され、元少年は3750万円以上の印税を手にしています。

結局カネになるかどうか

当時犯罪者の手記を炎上覚悟で出荷した理由は「カネになるから」であると考えられるでしょう。犯罪者の、それも反抗当時未成年の手記という前代未聞のネタです。ビジネスの目線で考えれば売れない理由がありません。

 

今回のライトノベルに関して出荷停止をした理由は「カネにならないから」であるとも考えられます。昨今ヘイトスピーチに対する圧力は高まっており、このまま出荷したところでユーザの不買運動を受けることは必死で、国際情勢を中止する事情から行政指導を受ける可能性すらあります。

 

殺人犯の手記はこのチャンスを逃せば読めないかもしれませんが、ライトノベル自体は掃いて捨てるほど世に出回っているのです。出版社や製作委員会としてもリスクを覚悟で出荷・放映する内容では無いと考えるのは至極当然のことでしょう。

 

ただ、「作品の内容とは切り分けるべき事項ではありますが」と述べているにも関わらず、5年も前のツイートを晒し上げられて出荷停止に追い込まれる現状は、少々行き過ぎているのでは無いでしょうか。

 

太宰治モーツァルトも現在に生きていれば、彼らの作品がが世に出回ることは無かったかもしれません。